固定費の見直しは「月いくら浮くか」で語られがちです。FIREを目ざすなら、もう一歩進めて何歳でやめられるかが何年変わるかで見ると、手をつける価値がはっきりします。
この記事では、かんたん計算「何歳で仕事をやめられる?」と同じ式で、固定費を月1万〜5万円下げたときの年齢を計算しました。
- 固定費の削減は2回効く。目標の金額が下がり、毎月ためる金額が増える
- 35歳・貯金100万円・毎月10万円・生活費20万円・年3%の例では、固定費を月1万円下げると69歳 → 66歳(3年早く)
- 月3万円なら60歳、月5万円なら55歳。削った分を積立に回すのが前提
- 通信・保険・サブスク・光熱費の見直しで、年13.8万円(月約1.2万円)が目安
固定費の削減は「2回」効く
FIREの目標は「1年の生活費の25倍」(4%ルール)で考えることが多いです。月20万円で暮らすなら、20万円×12か月×25年=6,000万円です。
固定費を月1万円下げると、次の2つが同時に起きます。
- 目標が下がる:生活費が月1万円へるので、目標は1万円×12か月×25年=300万円へる
- ためる金額が増える:浮いた1万円を毎月の積立に足せる
給料が月1万円上がっても2. しか起きませんが、固定費の削減は1. と2. の両方が起きます。ここが、支出を下げることが強い理由です。
削減額別の早見表
次の条件で、目標に届く年齢を計算しました。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| いまの年齢・貯金 | 35歳・100万円 |
| 毎月ためる金額 | 10万円 |
| 仕事をやめたあとの生活費 | 月20万円(目標6,000万円) |
| ふえ方 | 年3%・物価+1%(今の値段で計算) |
何もしなければ69歳です。固定費を下げた分を、目標と積立の両方に反映させると次のようになります。
| 固定費の削減 | 目標の金額 | 目標だけ下げる | 積立に足すだけ | 両方 |
|---|---|---|---|---|
| なし | 6,000万円 | 69歳 | 69歳 | 69歳 |
| 月1万円 | 5,700万円 | 68歳 | 67歳 | 66歳 |
| 月2万円 | 5,400万円 | 67歳 | 65歳 | 63歳 |
| 月3万円 | 5,100万円 | 65歳 | 63歳 | 60歳 |
| 月5万円 | 4,500万円 | 63歳 | 61歳 | 55歳 |
月ごとに計算して、目標に届いた月の年齢を切り上げています。年金・税金は入れていません。
月1万円の削減で3年、月3万円で9年、月5万円で14年早まります。「目標だけ」「積立だけ」のどちらか一方より、両方を合わせたときの差が大きいのが分かります。逆にいえば、浮いたお金を積立に回さず使ってしまうと、効果は半分以下になります。
条件を変えても差は残る
同じ35歳・貯金100万円で、利回りと生活費を変えた結果です(どれも物価+1%、削った分は目標と積立の両方に反映)。
| 条件 | なし | 月1万円 | 月2万円 | 月3万円 | 月5万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 毎月10万円・生活費20万円・年3% | 69歳 | 66歳 | 63歳 | 60歳 | 55歳 |
| 毎月10万円・生活費20万円・年5% | 62歳 | 60歳 | 58歳 | 56歳 | 52歳 |
| 毎月15万円・生活費25万円・年3% | 65歳 | 63歳 | 61歳 | 59歳 | 55歳 |
| 毎月15万円・生活費25万円・年5% | 60歳 | 58歳 | 56歳 | 55歳 | 52歳 |
利回りが高いほど1万円あたりの差は小さくなりますが、年5%でも月1万円で2年、月5万円で10年早まります。利回りは自分では決められませんが、固定費は自分で決められる、というのが大きな違いです。
どこから下げるか
月1万円をどこから作るかは、金額と手間で順番をつけると続けやすくなります。一般的な目安は次のとおりです。
| 項目 | 年間の削減額の目安 | 手間 |
|---|---|---|
| 格安SIMへ乗り換え | 約7.2万円 | 半日 |
| 保険の見直し | 約3.6万円 | 数時間 |
| 使っていないサブスク | 約1.8万円 | 30分 |
| 電気・ガスの見直し | 約1.2万円 | 30分 |
4つ合わせて年13.8万円、月約1.2万円です。上の早見表でいえば「月1万円」の行にあたり、最初の例なら3年早まる計算になります。月3万円以上は、住居費か車に手をつけないと届きにくい金額です。
項目ごとの進め方と注意点は「固定費を下げる順番|効果と手間で並べた見直しリスト」にまとめています。自分の支出が平均より多いか少ないかは「家計調査を費目別に集計したら」で比べられます。
FIRE後に増える固定費もある
会社をやめると、給料から天引きされていたものを自分で払うようになります。代表的なのが健康保険料と国民年金の保険料です。
- 健康保険料は、やめた1年目が高く、2年目からは退職後の所得で決まります。1年目はFIRE後の健康保険シミュレーター、2年目以降は「FIRE後の国民健康保険料は所得でいくら?」で金額を出せます
- 国民年金は、会社をやめると第1号被保険者に切りかわり、保険料を自分で払います。手続きと金額は日本年金機構で確かめてください
こうした「やめたあとに増える固定費」を生活費に足してから計算しないと、目標が低く出てしまいます。下げる固定費と増える固定費の両方を入れて、自分の数字で試してください。
何歳で仕事をやめられる?で計算する生活費を選ぶだけで、何歳で仕事をやめられそうかが分かります年金や副業の収入も入れてくわしく計算したいときは、FIRE計算機を使ってください。
- 目標は「1年の生活費の25倍」(4%ルール)です。米国の過去の株価をもとにした目安で、将来も同じとはかぎりません
- ふえ方は(年利-物価)÷12の月複利、毎月末に積み立てる計算です。年金・税金・手数料は入れていません
- 投資は元本割れすることもあり、ここに出る年齢は約束ではなく目安です
- 固定費の削減額は一般的な例です。契約内容・世帯人数・地域によって大きく変わります
※ 年齢は、かんたん計算「何歳で仕事をやめられる?」と同じ式で出しました(2026年10月時点)。計算のコードは tools/calc_koteihi_fire_ref.py にあります。